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時代劇主題歌@EP盤 [映画・TV関連]

お耳役秘帖1-520.jpg
 週末の2日間、雨にヤラれて何もできませんでしたねぇ~。仕方ないのでワテは自宅でたっぷりと録画した時代劇を観て楽しんでましたが、その中でも『木枯し紋次郎』と『新・木枯し紋次郎』の主題歌を聴いていると、ついつい一緒に歌いたくなっちゃいますね。特に後者のやしきたかじんの歌う「焼けた道」は、上條恒彦の「だれかが風の中で」の陰に隠れた感じですが、かなり抑揚の効いた佳作ですね。それに『座頭市物語』の主題歌で、勝新太郎が自ら味わい深い歌声を披露している「おてんとさん」も隠れた名作と言った風情で大好きです。ここらへんは最近色々出ているオムニバス盤のCDでフルバージョンを楽しんでましたが、先日入手したCD-BOX『チャンバラ万歳!』に入っていたもので、お気に入りの一つになっていたものがありました。それがこの「陽かげり」と言うタイトルの歌で、『お耳役秘帖』と言う時代劇番組の主題歌になります。これを歌っているのは“西村黄門”の頃から3代目“格さん”をずっと演じていた伊吹吾朗(郎)で、「♪じ~んせぇい ゆうきぃが ひ~つよぉ~だぁ~♪」とヘタウマに歌っていたのを覚えてらっしゃる方は多いことでしょう。元々伊吹吾朗さんはフラメンコ・ギターの名手で、音楽には強かったはずなんですが、水戸黄門のおかげでワテの脳内には「音痴」なイメージが…(笑。その後、たくさんの時代劇主題歌を聴いていて、今のところ音痴の東横綱は『必殺仕事人III』で「冬の花」を歌う鮎川いづみで、以前は「ナゼあんなに下手なのに歌わせてレコードまで売るんだろう?」と不思議に思いましたが、今聴くと、これはこれで味わい深く感じられるからナゾです。
 で、当の伊吹吾朗さんですが、この「陽かげり」を聴く限り、ちっとも下手ではないですね。まぁ、決して上手い訳でもないんですが、充分聴くに耐えるレベルです。しかも、彼のパワフルな歌声と中村泰士作曲のブルース調でありながらドラマチックなメロディが良く合っていて、結構高ポイントな歌になっています。B面の曲もマカロニウェスタン風の佳曲で、なかなかのものでした。実はこの番組ですが、今月5日から時代劇専門chで放送されます。まだ観たことはないのに、主題歌がお気に入りですから、是非とも録画して保存しておきたいですね。ただ、今時専chでこの番組の宣伝をしていて、バックでこの主題歌が流れていますが、どうも下手っぽく聞こえちゃいます。前に『いただき勘兵衛 旅を行く』の主題歌、目黒祐樹さんの歌うリズミカルで軽快な「はみだし野郎の唄」「仙太まつり旅」は、レコードで聴くと上手に歌っているように思えるのに、TV番組内では変にこぶしがずれたような下手な感じで聴こえちゃいました。ひょっとすると、伊吹「格さん」の歌声も、TVではこんな具合で本来と違って下手に聴こえていたのかも知れませんね。
風と雲と虹と1-520.jpg
 時代劇主題歌は、先に申した通り、ドラマの主演俳優/女優が自ら歌う場合が多々ありますが、アメリカでは俳優さんが歌を上手に歌うのは当然のことで、それがかなわないと第一線に出られないとのことです。日本でもかつてはそうだったそうで、映画が全盛の頃は舞台公演も多く、やはり演じることと歌うことは必須だったと聞きます。それがTV時代になると、俳優さん達も歌う必要がなくなった場合もあるでしょうが、音痴な人でも歌わなければ問題なくなってきたのか、あまり歌の練習を積んでこない人も多くなったようですね。
 前に『ちょんまげ天国』のCDを買って聴いた時に、70年代に観ていた加藤剛主演の『風と雲と虹と』と言うNHK大河ドラマの主題歌が入っていました。元々大河モノはあまり好きではないですが、このドラマはテーマ曲の勇壮なメロディが耳に残り、加藤剛さんも好きだったので、子供ながらに良く観ていました。そのテーマ曲が聴けると思い楽しみにしてCDを掛けてみると、な、なーんと! ドラマでは聴いたことがなかった歌詞が付いていて、しかも加藤剛さんが自分で歌っているではありませんか! その歌声たるや、彼の日頃の姿勢そのままに「真っ直ぐ」。はっきり言って下手ですが、音符が外れるようなことはありません。とにかくストレートに歌っているのがかえって力強さのように感じられるから妙なものですが、メロディはとにかく素晴らしいので、70年代に放送された当時のものがずっと記憶に残っていた位です。そのおかげで、加藤ストレート剛な歌声でも味わいにつながるんだと思いますね。ちなみにB面は戦時中の軍歌みたいなメロディの暗い曲でした。
清水次郎長1-520.jpg
 その加藤剛と『大岡越前』で長らく共演していた榊原伊織役の竹脇無我さんですが、実はプライベートでも加藤さんととても親しく、竹脇婦人が出産の際に連絡を受けた加藤さんが、竹脇無我本人よりも先に病院に到着していたなんてエピソードがある位です(笑。で、その竹脇さんですが、残念ながら昨年ご逝去されましたね。若かりし頃はその甘いマスクから女性ファンがとても多かった彼ですが、一瞬「ミスマッチ?」と思える主役をこなしたことがありました。それが『清水次郎長』で、確かにあの真面目そうでいて甘いマスクの彼が侠客と言うのはどうかなーと思いますよね。向田邦子の原作を元に、ヤクザと言うよりホームドラマ調に仕上げるために、竹脇無我に白羽の矢が立ったのですが、共演者も明るいこと。それまでの凄味の利いた俳優さん達による、「男次郎長」な雰囲気は確かに薄く、子分や町の衆思いの、理路整然とした優しい親分像になっています。その主題歌はディック・ミネが戦前に歌ってヒットした名曲「旅姿三人男」なんですが、「♪しみぃ~ずぅ~ みぃ~んなとぉの めいぃぶぅ~つぅぅぅ~わぁ~♪」と抑揚を効かせたこぶし回しで歌う味わい深いもので、誰でも知っているものです。それを渡辺岳夫が編曲して、軽いロック調にしたからビックリです。でも、さすがは天才渡辺岳夫。モロに演歌丸出しのあの曲が、軽快なリズムにちゃんと変身しているんですからね。ただ~し! 歌は竹脇調とでも言いましょうか、はっきり言って音痴度では西の横綱です(笑。鮎川いづみと相通じるのですが、下手なのに無理してこぶしを回して歌おうとして、ヘンテコになっているんですよねぇ…(^∇^)v それでも、あの軽いノリの「旅姿三人男」は歌い易いものに仕上がっていて、個人的にこれもポイントが高いです。でも「三人男」のはずが、歌詞の#4が付け加えられていて、それはちょっと頂けないかな。B面の「任侠清水港」も軽いメロディでしたが、さほどのものではなかったです。
新五捕物帳1-520.jpg
 時代劇俳優さんの中で歌が上手いと言えば、この人の右に出る人はなかなかいませんでしょうね。西郷輝彦もとても上手ですが、彼は元々歌手出身ですからね。杉良太郎も歌手志望で芸能界に入ったそうですが、そちらでは芽が出ず、早いうちから俳優に専念していました。その彼が認められ始めて、『一心太助』で主役を取るようになり、『水戸黄門』の「助さん」や『大江戸捜査網』の頃には人気は絶大でした。舞台公演をたくさん行なっていたこともあり、「杉さま」を追いかけるおばちゃん衆がとても多かったですよね。確かに彼の若かりし頃のスッキリした顔立ちで流し目をされたら、中年女性は参っちゃったことでしょう(^∀^)。
 ワテは個人的にはあまり杉良太郎主演作で好きなドラマはないのですが、大学生の頃は『新五捕物帳』は高橋英樹主演の『桃太郎侍』と並んでよく観ました。今でしたら彼の作品なら『喧嘩屋右近』が一番好きですが、『新五捕物帳』ではちょっと暴力的とも思える怒りに満ちて極悪人を徹底的に殴りまくる心の熱い親分を演じていまして、笑いの要素が少ないですね。しかし、主題歌の「江戸の黒豹」は名曲です。ちょっと「黒豹」と言う動物名に違和感はありますが(笑)、曲はとてもドラマチックでドラマの中の「新五」の熱い血潮を良くメロディで表しています。それに杉さまのこぶしの効いた伸びのある歌声で、昔から大好きな歌でしたね。ですから、ワテが長らく70年前後のアメリカンロックにはまっていた時でも、クイックシルバーやフランク・ザッパのレコードを買いあさって聴きながら、このシングルレコードも当時買って聴いてきたもんです。歌と演技をきっちり両立させることのできる俳優さんって、最近は本当に少なくなってきているでしょうね。人気のあるアイドル歌手がなーんも芝居を学ぶことなくドラマに出演して、下手な演技を晒すのは論外ですが、やはり舞台公演をたくさんこなすような役者さんでないと、歌と演技の両立は難しいし、そもそも不必要な時代になっているんでしょうね。
 何はともあれ、時代劇テーマ曲・主題歌から興味を持ってそのドラマをじっくり観ると言うことがあるのですから、やはりその存在はとても重要なんだと思いますね。


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ほりぐち

竹脇無我の次郎長は毎週見ていました。今思えばヤケに爽やかな親分でしたね。

「旅姿三人男」は生まれて二番目に覚えたコブシを回す歌でした。(一番目は「モーレツ ア太郎」でした。えっ?どっちでもええっ?)
by ほりぐち (2012-09-05 23:01) 

トプ・ガバチョ

>ホーリーさん、お早うさんです!
こんなマイナーネタにコメントを頂いて、有り難うございます!
そうですか、竹脇無我版「清水次郎長」を当時ご覧になってたんですね!
ちょっと前から時代劇専門chでやってまして、ワテも今になって観ていますが、本当に爽やかな次郎長ですよね。
主題歌の「旅姿三人男」も軽快なアレンジで、良く仕上がってるんですよねぇ。
もちろん、本家ディック・ミネの歌も良いのですが、この渡辺岳夫のアレンジもポイント高いです。
時代劇主題歌って、じっくり聴いてみると佳曲が多いです。
by トプ・ガバチョ (2012-09-06 09:59) 

HIRO

こんにちは。
時代劇のスターも、沢山居られますから上手い下手も…(笑)

今時は、デビューしたら「ミュージカルに出るのが夢」とか、のたまうコレからの成長を見守る?おこちゃまとかばかりで...
亜米利加のショービズ界じゃ、「歌えて踊れて芝居も出来る」が当たり前で、いかに個性をオーディションで売り込めるかが、キーポイントになっているのとは大違いですね(哀)
by HIRO (2012-09-10 11:19) 

トプ・ガバチョ

>HIROさん、こんばんは!
時代劇スターで剣さばきが下手な人の殺陣のシーンはイタいものがありますが、竹脇無我は歌も立ち回りも下手でしたねぇ~(笑。
『鞍馬天狗』の時の彼の緊張感のないチャンバラに対し、途中からセミレギュラーで加わった品川隆二さんの鋭い太刀さばきが一層切れ味鋭く見えましたっけ。
伊吹吾朗さんはその点、しっかり剣術もこなせる男前ですね。
最近良くバラエティーでお笑い芸人にいじられてニコニコするお人よしなイメージがすっかり定着しましたね。
しかし、最近の日本の芸能界はどうなってるんでしょうね。
まるで実力のない人達が、人気だけでもてはやされて、ろくな芸もこなせないようなことが多々ありますからねぇ…。
by トプ・ガバチョ (2012-09-10 20:06) 

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