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クリスタル3s@作例 [イタリアンカメラ]

Kristall_3s.jpg
 かつてイタリアでは優れた職人さんが小さな工場を構え、いわゆるカロッツェリアとして様々なジャンルで活躍していましたが、これは精密機械工業でも然り。と言うより、19世紀などでは彼らが世界をリードしていた一員と言っても過言はありませんでしたね。ただ、20世紀も大戦後となると、大きなパトロンを後ろ盾にして、その下で細々と生産を続けるやり方では世の中に付いて行けません。そうした職人気質の工業では世界の急速な消費社会に遅れを取るのは目に見えています。写真工業界もご多分に漏れず、多くが衰退し、消えて行きました。
 このKristall 3sと言うカメラは、1950年頃にキナーリア・ドメニコ(Chinaglia Domenico)と言うベルーノにあった工場が、ミラノの卸問屋のグイド・ノニーニをパトロンに迎えて売り出したカメラで、いわゆるライカ・コピー機になります。確かにヤヌアよりもバルナック・ライカに似ていますが、そっくりに作った他国のコピー機とはやはり違いますね。何よりカメラの「顔」とも言うべき軍艦部のデザインが随分変わっていますでしょ? ライカのような複雑な線ではなく、ファインダー部を四角く切り抜いてカバーをかけたような、あっさりとしたものになってます。ライカではIIIbまでのファインダーカバーが別体のものを参考にしているのか、本体もダイキャストの一体成型にはなっていません。ただし、スローシャッターが前部ではなく上部に持ってきたのは大正解。全くジャマになりません。
 クリスタルはこのデザインで、まず2型を出し、それに1/1000秒を加えた2aと距離計のないスタンダードを発売。直ぐにシンクロ接点を加えた2sになりますが、同時にスローシャッターを加えた3sを最高機種として発売します。53年になって前にもご紹介したクリスタル53に進化し、廉価版のRを50年代半ばに送り出した後、60年頃に終了。と言う具合ですから、日本のメーカーとは違って、やはり生き残るために新たなものを開発すると言うより、従来のものを頑なに保守する姿勢が道を閉ざしたんでしょうね。
PhotoKristall3S1.jpg
 クリスタルのレンズはステイナー5cm F3.5が標準で、レンズ構成は3群3枚のトリオター型。フランスのソム・ベルチオのF2.8やドイツのシュナイダーのクセナーF2などのレンズも選択できましたが、今となってはその辺はたくさんあるので、自社銘柄のSteinarが付いたこの個体は当時一番格安でも、今や一番貴重ですね(笑。
 フィルムはやはりアグファVista100をナニワカラーキットで現像していますが、このレンズの色合いはなかなかニュートラルで好みです。ちょっとアグファでは赤味がきつくなる傾向にありますが、フジではまずニュートラルです。ただし、解像力は別銘柄の兄弟機種、Wega(ヴェガ)に付いていたトリクサー(Trixar)の方が良い感じ。実は同じところが作っていたレンズなんですけどね(^∀^)。
 このカメラを肩に掛けて近所をブラブラしていた時に見付けた子猫2匹ですが、一方の茶トラは堂々と板の上に座っているのに、トラの方は下に降りたいのに降りれないようで、いかにもこわごわとポストのところに前足を出しては引っ込めていました。あんまり可愛らしいので、ついついパチリ。スピードは1/200秒で絞りはf5.6程度です。かなり近寄っていますが子猫達は「オレ、知らね」&「それどころじゃないっつーの!」と言う感じで面白かったです。

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