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TOPCON Rシリーズ@東京光学 [トプコンカメラ]

Topcon R 520.jpg
 最近、すっかりフィルムカメラを使わなくなっていたので、たくさん買い込んであったフィルムも劣化してしまいそうで、「こりゃヤバイ」と思ってちょくちょく使うことにしました。そこで、ふと思ったのですが、Myブログのカテゴリーにきっちり定めている「トプコンカメラ」についてのレポがスカスカで、放置状態になってるようで、こりゃチトまずいかなと(^∇^)。何しろワテがPCを99年に生まれて初めて買ったのは、大好きなTOPCONカメラのHPを作成してインターネット上だけでなく、実際に同好の仲間と色々と楽しむことが目的だったんですから、言わばワテのWeb history(←ナンじゃい、そりゃ ^o^)の原点みたいなものなんですよねぇ~。それがここ数年のフィルム業界の氷河期と、セミクラシック・カメラブームのバブル崩壊後に木枯らしが吹いている状況から、ついついワテも便利なコンデジを常用してしまいがちでしたが、未だにデジ一眼には手を出していないのは、「本格的に撮影を楽しむのはトプコンカメラで」と言う意識が根強いからなんですね。で、ブログでも忘れることなく、素晴らしいトプコンカメラのあれこれを紹介して行きたいです。
 で、これまでアップしてこなかったもので、忘れてはならないのが「トプコンRシリーズ」。今回はこれらを系統立ててご紹介します。


 トプコンRは東京光学機械k.k.(現、株式会社トプコン)から1957年に発売された、国産で3番目のペンタプリズム式一眼レフカメラでした。先行するアサヒペンタックスAP・ミランダTと異なり、レンズ絞りがシャッターボタンと連動していました。これはレンズマウントに近いところのレバーを押し下げてシャッターを開放し、横に伸びたアームに付いた絞込みボタンがカメラのシャッターボタンの前に出ることで、ここを押して絞りがスプリングの力で絞り込まれた後にシャッターボタンが押し込まれるようになる、いわゆる半自動絞りになります。絞りとシャッターのタイムラグは非常に少なく、かなり切れ味が鋭い感覚です。ただ、シャッターを切った後で絞り込まれたままになってファインダーが暗くなるのを嫌ったユーザーの声から、59年にはボタンを押すと徐々に絞り込まれ、離すと絞りが開くタイプの、いわゆるオートキノン型のレンズも作られました(輸出向け)。
 そのレンズですが、標準がAuto-Topcor 5.8cm f1.8で、絞込み(シャッター)ボタン周辺のリングが銀色になります。この半自動絞りのAuto-Topcorレンズは、標準レンズとデザインが統一された3.5cm f2.8広角と10cm f2.8望遠が用意され、それぞれボタン周りのリングはエメラルドグリー/ゴールドに着色され、一目でどのレンズか分かるようになっていました。また、絞りリングに刻まれた数字の色も5.8cm標準レンズは白なのに対し、3.5cmレンズは緑、10cmレンズは黄色と、ここからも簡単に見分けられるようになっていました。このうち、3.5cm f2.8は、国産初のレトロフォーカス広角レンズで、ようやくミラーアップなしで使える広角レンズの登場だったんです。
 トプコンRはとても手堅くしっかりした作りのカメラですが、かなり大柄になっています。後のオリンパスOM1やペンタックスME等のコンパクトな一眼レフを使っている人には、かなりドデカく感じるでしょうね。でも、おかげでフォールディングは良好で、意外と手に馴染むんですよ。シャッターボタンが前面にある前押し式なので、手ブレにも強いんです。
 ペンタプリズムファインダーは取り外し可能で、ウェストレベルファインダーも用意されていました。交換レンズですが、Auto-Topcor以外は皆手動のプリセット絞りになりますが、R Topcor 9cm・13.5cm・20cm・30cmが当初からラインアップされていました。特に13.5cmと30cmには、平均的な明るさのものと、大口径の高速レンズが用意されましたが、この13.5cm f2と世界初の“サンニッパ”30cm f2.8は、後の東京オリンピックでの公式記録用レンズとして採用されました。ニコンがサンニッパを作ったのは77年ですから、いかにトプコンの光学技術が優れていたかを示す、一つのバロメーターのようなレンズでした。
Topcon R Black 520.jpg
 さて、トプコンRはその堅実で丈夫な作りから、警視庁の公式カメラにも採用されました。その際、極少数ですがブラックボディも作られましたが、かなり細かいところまで黒く仕上げられたパーツが使われていました。スペックは一般向けのクロームメッキのものと何ら変わりません。
Beseler B 520.jpg
 アメリカ向けには現地ディーラーのチャールズ・べセラー商会の力が強く、カメラ名に「BESELER」の名が刻み込まれました。モデル名も「R」から「B」に変更されましたが、「A」はほぼ同じ頃作られていたレンズシャッター式一眼レフのトプコンPRIIを指します(Beselerの刻印はなし。元箱にBeseler TOPCON Aとあり)。このべセラーBも、国内向けのトプコンRと何ら変わりはありません。
Topcon RII 520.jpg
 60年になると、各社ともにペンタプリズム式一眼レフを揃えるようになり、絞り形式も完全自動絞り化が普及しつつありました。有名なものは幻のカメラとしても知られるZunowが完全自動絞りを達成しましたが、機構的に脆く、他のメーカーは独自の方式で完全自動絞り機構を築き上げました。トプコンも独自の機構を構築し、一部のメーカーもこれを用いました。その完全自動絞り機構を盛り込んだのがこのオートマチック・トプコンRで、通称トプコンRIIと呼ばれています。絞り機構の変更に伴い、レンズもF.Auto-Topcorとなって、以降ずっと基本的に同じものがトプコンが一眼レフカメラの生産を終了する81年まで販売されることになります。ちなみに、ヘリコイドリングに滑り止めのゴムを巻いたのはトプコンが世界で初めて採用したことなんですよ。それに、後々のことを考えて、絞り値をカメラ側に伝えるためのピンを既に設けていましたが、これは後に世界初のTTL一眼レフ、トプコンREスーパーが生まれた際、初めから開放測光を実現させるのに大いに役立ちました(絞りの進行方向は逆でしたが)。
 他にトプコンRIIにはセルフタイマーが内蔵され、向かって右側には絞り込みレバーも設けられました。しかし、販売価格は下げられていました。
Beseler C 520.jpg
 トプコンRIIにもアメリカ向けのべセラー・トプコン銘柄のものがありました。その名も「C」。味も素っ気もないですが、見た目もゲゲゲの鬼太郎に出てくるから傘お化けみたいですね。
Topcon RIII 520.jpg
 61年になると、セレン光式露出計を着脱できる、トプコンRIIIが発売されました。これはシャッターダイアルと露出計を噛み合わせて連動させるもので、シャッターを決定したら、露出計上面の針の指す位置の絞り値を読み取って、レンズの絞りを回すものになります。この露出計のために、シャッターダイアルは一軸不回転式に改められました(RIIまでは高速・低速二段の回転式)。それ以外では従来のものと変わりはありません。また、アメリカ向けもBESELER TOPCON Cのままでした。
 トプコンはこの時世界初のTTL一眼レフ、REスーパーを開発中で、このRIIIはあくまでも過渡期的なモデルでしたので、販売台数はほとんど伸びないまま終わりました。
 トプコンR用のAuto-Topcor/R Topcorレンズは、9cm f3.5、13.5cm f2、20cm f4、30cm f2.8以外は、この後レンズの基本設計はそのままに皆完全自動絞り化され、REオートトプコールとして63年から76~77年のRE Topcor Nシリーズが登場するまで生産され、その後も81年まで販売されていました。トプコンが採用したエキザクタマウントですが、トプコンRの時代は問題がなかったものの、60年代後半に入るとの口径が小さ過ぎる弊害が出て、新たな大口径レンズの設計を困難にしていました。RからREスーパーに切り替える際に、マウントも一新させるべきだったのでしょうが、これについてはまた後日と言うことで…。

 トプコンRは、その性能を高く評価されながらも、アサヒペンタックスAP等に比べてかなり大柄なため、当時の『アサヒカメラ』誌で「軍用カメラ」と揶揄されたことがありましたが、50年以上の時を経て、今なお故障知らず&無調整で普通に使えるのですから、本当にタフで高品質なカメラだと言うことを「時」が証明してくれましたね。
 参考「TOPCON CLUB」~トプコンRシリーズ 各種トプコールレンズ

 【作例】 「かもめ@かもめ町」
kamome.jpg
 トプコンR Rトプコール13.5cm f2 イルフォードFP4(ID-11現像) シャッタースピード~1/250秒 絞り~f8


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シバッチRS

先日ご自宅にお邪魔したときに拝見したコレクション
の数々を思い出します。
シャッターボタンが正面にあるタイプはALPA等この時代のカメラに
多いですが、これはメーカー特許の影響なんでしょうか?
巻上げレバーの近くに在った方が合理的と考えますが。
by シバッチRS (2012-11-28 14:04) 

トプ・ガバチョ

>シバッチさん、どもどもです!
まぁ、何しろワテの趣味の中で、カワサキのツインショックオフロードバイクとトプコンのカメラは、とりわけ大切なものですから、ちょっと深くやってきたところがありますね。
特にトプコンに関しては、細かいアクセサリーも含めて、ほぼコンプリートで持っていますが、さすがに体は一つですから、使わないものも多々あります(笑。
でも、時折シャッターは切ってやらないと、レンズシャッター機は動きが渋くなりますね。
ちなみに画像のトプコンR3のセレン式露出計は、何と未だにビンビンに光に反応しますよ~!

>シャッターボタンが正面にあるタイプはALPA等この時代のカメラに
多いですが、これはメーカー特許の影響なんでしょうか?

あの前面にボタンがあるタイプは、元祖35ミリ一眼レフのキネ・エキザクタから始まるもので、別段どこかの特許でもなんでもないです。
一般的にはライカタイプの軍艦部に置くのが好まれましたが、前面ボタンは縦にカメラが振れないので、手振れにも強いんですよ。
使う人の慣れが一番の要素ですが、既にライカタイプが基本になってましたから、普及しなかったんではないでしょうか。

by トプ・ガバチョ (2012-11-28 16:50) 

lensmania

昨今薄っぺらい一発記事が多いとお嘆きの方に,ここのサイトを強力にお勧め致します.
私はトプコン35mmSLRに手を出していませんが,毎回の深い知識と洞察に長けた記事は心地よく楽しみです(^_^)
by lensmania (2012-11-28 21:03) 

トプ・ガバチョ

>れんまにさん、こんばんは!
そんなに持ち上げてくださらなくても…(^∇^)
ワテが書くものなんて、ただスペックをずらずら書いているだけのようなものですんで、やっぱ薄っぺらですよ(笑。
でも、そんなんでも喜んで頂ければ、またこつこつと書いて行きたいです。
一度、ニコンF対トプコンREスーパー、ニコンF2対キヤノンF1対トプコンスーパーDMと言うのもやってみたいですが、ニコンもキヤノンも持っていないので無理っすね(;´д`)
by トプ・ガバチョ (2012-11-28 22:41) 

lensmania

F2とF1は手元にあるからお送りしましょう,この快楽のためなら何でもしますよ(笑
時代に合った玉は多くありませんが.
by lensmania (2012-11-29 18:06) 

トプ・ガバチョ

>れんまにさん、アザース!
でも、まぁその前に、持っているレンズの中から、Lマウントで、トプコール5cm F1.5/F3.5 VS ズマリット50mm F1.5/ズマール50mm F3.5とか、トプコール3.5cm F2.8 VS キヤノン28mm F2.8の広角対決、トプコール9cm F3.5・13.5cm F3.5 VS ニッコールP.C8.5cm F2 VS キヤノン13.5cm F3.5 VS ガリレオ・オグマー9cm F3.5 VS I.S.O.イリアー12.5cm F3.5の望遠対決もやってみたいです。
トプコールに関してはレンズシャッターですが、トプコン35Bに8cm F5.6を装着するのもアリかなと(^∇^)。
一度テスト撮影を本格的にやってみたいです。
by トプ・ガバチョ (2012-11-29 18:42) 

れんまに

おお,それは凄い.大変だと思いますが,期待しています.
私で協力できる事がありましたら何時でも仰ってください.
ところで某所でガリレオオグマーの価格見たら吹きました.40万超えていて.今だチャンスだ真空飛び膝蹴り.
by れんまに (2012-11-30 22:07) 

トプ・ガバチョ

>れんまにさん、こんばんは!
以前Lマウントトプコール13.5cm vs I.S.O.イリアー12.5cmはやったことがありますが、その後ライカIIIFとズマリット・ズマール/キヤノン28mm・135mm/ニコン8.5cmを知り合いのおじさんからもう使わないからと言うことで頂いたんです。
ここら辺のレンズとオグマー9cmを絡めて比較調査をしてみたいですね。

それにしても、オグマー9cmが40万って、気が狂ってるだけでしょう…。
by トプ・ガバチョ (2012-11-30 22:50) 

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