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てなもんや三度笠@ビデオ [映画・TV関連]

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 最近『てなもんや三度笠』のTV版「傑作選」のDVD-BOXを入手し、当時の古い番組を直に観たような気分になり、ナンだか妙に楽しい思いでした。この『てなもんや三度笠』のTV放送が始まったのは1962年で、以降300回以上放送された大ヒット番組でした。さすがにワテはリアルタイムで観ていたとしても赤ん坊ですから、当時のことは全く覚えていませんが、番組が始まる時に主演の藤田まことによって毎回行なわれるショートコント的なCMの決め台詞、「俺がこんなに強いのも、当たり前田のクラッカー!」と言うフレーズはしっかり覚えていました。当時の番組のCMは、ストーリーを中断して挿入するのではなく、劇の最中に時折テロップを流すようになっていて、劇が途切れないのは良いですね。舞台が終わった後、白木みのるが前田製菓の色々な商品を取り上げて面白おかしく紹介するのですが、このCMもその都度作られていて、今の番組内容とはかすりもしないCMと全く異なっています。本当に当時は番組制作側がスポンサーを大切にしていたんでしょうね。
 『てなもんや三度笠』は藤田まこと扮する「あんかけの時次郎」と、小さな白木みのる演じる「珍念」の弥次喜多道中モノで、旅の途中、色々な人々と出会ってトラブルに巻き込まれる形になってます。ここで登場するゲストが豪華で、当時の人気歌手やコメディアン、俳優等、百花繚乱と言う感じです。特に歌手がゲストですと、必ず持ち歌を歌いながら登場し、観客の「キャー!」と言う声が聞こえます。そうそう、この番組は舞台での公演を録画したもので、後の『コメディお江戸でござる』と同じパターンです(伊東四郎もてんぷくトリオ時代に『てなもんや』に準レギュラー出演していました)。ですから、DVDの特典でディレクターの澤田氏が映像解説でおっしゃってましたが、当時人気絶頂のタイガースをゲストに迎えた時は、ファンのキャーキャーと言った歓声がものすごくて、演者の声が全く聞こえなくなり、撮り直しをしたんだそうです。いずれにせよ、トボけた藤田「時次郎」と子供なのに妙に大人びて博識な白木「珍念」(実は当時28歳)の掛け合いが面白い上、こうした豪華ゲスト陣ですから、視聴率はかなり良かったようで、番組が作られたABC放送のお膝元の関西では30~40%をずっとキープしていたんだそうで、もの凄い人気ぶりだったんですね。
 ところで、入手したDVD-BOXに収録された話は268話以降の10話しかなくて、30分1話のものが2つずつ5枚のDVDにそれぞれ収められていて、同時に澤田氏の解説映像が各DVDに特典として加えられています。しかし、1枚あたり2話60分ではいささか短すぎですし、画像もすこぶる悪く、この点も残念ですが、実はこの映像は澤田氏が当時自腹で購入したオープンリール型のビデオデッキで撮っておいたものから起こしたものだそうで、何しろ当時はテープが1つ1万円(月給は10万円程度だったんだそう)もしたので、結構重ねて録っていたみたいです。そのうちから後半の40話ほどが残っていて、奇跡的に21世紀にDVDとして甦ったとか。60年代にフィルムではなくビデオカメラによる録画で制作された番組は、例えばNHKの大河ドラマでもテープの重ね撮り等で残っていない場合が多いようですね。『てなもんや三度笠』も製作会社には1話も残っておらず、当時のTV番組のソフトに関する意識の低さが良く分かります。と言う訳で、このDVDも澤田氏が個人的に家庭録画したテープからの起こしですから、画質が悪いのは仕方ないですね。
 ところで、この番組はTVとは別に計5回映画化されてまして、最初の2回はストレートに『てなもんや三度笠』『続・てなもんや三度笠』のタイトルで東映で作られました。その後東宝でも『てなもんや東海道』『幕末てなもんや大騒動』『てなもんや幽霊道中』が制作され、それぞれビデオにもなっていますが、DVD化されたのは東映の2本だけ。ワテはまだ東宝版は1本しか持っていませんので、比較するのもナンですが、面白さは東宝の『てなもんや東海道』の勝ちかな。東映版は肝腎のストーリーが散漫で、笑いも少な目でした。『続・てなもんや』は多少マシですが、登場する黒船のキャプテン(ペリーなのか?)がE・H・エリックなのは良いとしても、他の船員がほとんど日本人(笑。いくら喜劇でも、映画なんだからもう少ししっかりしてもらいたいところですね。ただし、TVでもそれぞれのシーズンで藤田・白木のコンビ以外にそれぞれレギュラーを設けていましたが、例えば、残存するテープでの後半のものでは「キビシー!」でお馴染みの財津一郎が変な写真師として毎回登場します。これ以外で中期に香山武彦が相撲取り崩れの役で出ていましたが、これは映像が残っていないので観たくても観れないものの、この映画化された『続・てなもんや三度笠』でその様子が楽しめるのは良いですね。逆に東宝版ではハナ肇・谷啓らや伴淳三郎、加藤茶なんかもちらりと出演しています。ちなみにこの後のものではドリフが皆出ているそうで、是非観てみたいですが、DVD化されていないので、中古VHSを探すしかないのがツラいところ。ちなみに東宝版はどれもカラーなのも良い点です。
 藤田まことはワテも好きな俳優でして、『必殺シリーズ』や『はぐれ刑事純情派』、『剣客商売』等の人気作品がありますが、個人的には中村玉緒と共演した『夫婦旅日記 さらば浪人』が大好きです。これについては以前に書きましたので省きますが、もう1人の主演とも言うべき白木みのるも、大好きな『素浪人 花山大吉』や『俄 ―浪華遊侠伝―』等でゲスト出演しており、前からその小さな体と甲高い声に似合わないこまっしゃくれた“大人”の演技のギャップが面白くて、好きな俳優さんでした。彼はまだ実業家としてご健在だそうですが、藤田まことはご存知の通り既に故人。漫才でもコントでもなく、あくまで喜劇で毎回30%以上の視聴率を稼ぐ連続番組なんて、今後ほとんど不可能でしょうね。

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HIRO

こんにちは。
再放送か何かで観た記憶があるのですが、藤田まことさんに白木みのるさんはもちろんの事、財津一郎さんとかの吉本勢に、長門勇さんとかの俳優さんが、それぞれの個性を出した役で出ていたのが、印象に残っています。

人形劇の「新八犬伝」とかも、3話分しか残っていないみたいで…
by HIRO (2012-01-26 21:35) 

トプ・ガバチョ

>HIROさん、お早うさんです!
やはりHIROさんも観た記憶がありましたか(^o^)v
「当たり前田のクラッカー」は時代劇で良く使われる「その手は桑名の焼き蛤」のように、みんなに知れ渡っていましたもんね。
財津一郎さんがメジャーになって「キビシーッ!」を皆が知るようになったのもこの番組からだから、思えば50年前(!)のギャグが今でも人々の記憶に残っているのは凄いことかも。
まぁ、今若い人にそんなギャグを発しても「ポカーン」でしょうが(^∇^)。
それにしても、当時の日本の番組制作に対する考えは黎明期とは言えお粗末ですよね。
せっかく自分らで作ったものなのに取っておかない…、ワテには到底できない潔さですな(笑。
by トプ・ガバチョ (2012-01-27 09:24) 

ほりぐち

Topさん、自転車リハビリ等、順調そうで何よりです。月影兵庫〜花山大吉はワシのものごころ付くか否か時代の土曜夜九時(?)必見番組でした。どっちがおから好きやったのか、蜘蛛嫌いやったのか、とか今となれば記憶はですが、毎週かぶり付きで見ていました。また、てなもんやとくればひょっこりひょうたん島(関連性はありませんが。)も期待しています。

この時期は工具が冷たくてレストアのテンポがダメですワ。
by ほりぐち (2012-01-29 23:50) 

トプ・ガバチョ

>ホーリーさん、有り難うございます!
もうかなり手は良くなっていますが、やはり曲げるとまだ左右とも関節のところが炎症を起こしている時みたいな弱い痛みが残ってます。
ただし、生活が損なわれるようなことはなくなりました。
後は雑巾を強く絞れるようになればとりあえず回復かな(^o^)
ところで、ホーリーさんの世代では『月影兵庫』や『花山大吉』はリアルタイムでご覧になってたんですね!
ワテは何しろまだ赤ん坊~せいぜい小学校低学年でしたから、観ていたとしても全く記憶に残ってません。
やっぱそれよりウルトラマンやおばQなどの方に目が向きますもんね。
ひょっこりひょうたん島はしっかり記憶に残ってますよ。
あれも思えば古い番組ですよね。DVDとか出ているのかな?
by トプ・ガバチョ (2012-01-30 13:06) 

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