SSブログ

皆さん知ってました?@60年代国産スポーツカー [色々な車]

100516グリフォン1.jpg
 16日正午近く、HCC'95のミーティングもそろそろ解散と言う時間帯に、一台の黄色とも金色とも言えない、シブい黄土色のコンパクトなスポーツカーが大黒PAに入ってきます。遠目で見ていた我々は、当初アルファロメオ・ジュニア・ザガートかと思いましたが、近付いてくるにつれて、ヘッドランプ回りがザガートとは違うし、あのアルファ独特の、目立つ盾形のエンブレムもありませんので、皆「??」状態。例の車が停車すると、一斉に密に群がる蟻のように集まります。「ナンだろう?」「Wのマークって初めて見た」「GRIFFON??」 車体に付いたエンブレムを見てもサッパリわかりません。
100516グリフォン2.jpg
 オーナーさんが降りていらして、話を伺うと、ビックリしたことにこの車、純国産スポーツカーで、「カロッツェリア・ワタナベ」と言うメーカーの「グリフォン」と言うモデルなんだそうです。ワテも長らく車好きで色々な雑誌を長年読み続けてきましたが、さすがに全く知りませんでした。こう言う車が国産車にあったなんて…。
100516グリフォン3.jpg
 コクピットはとてもレーシーで、'70イタリアンスポーツのそれと通じるものがありますね。それにしてもコンパクトでしっかりした作りですが、これが東京の1バックヤードビルダーが75年に作っていたとのことで、驚きました。
100516グリフォン4.jpg
 実は、ホンダS600のエンジン・フレームを利用し、独自のボディをそれにかぶせる方法で仕上げたそうなんですが、見た目には色々と違うように感じられます。そもそもボディそのものも、コンパクトとは言えS600よりも若干大きそうに見えますし、エンジンも迫力満点。やはりツインチョークになっていますが、それぞれ独立した四つのダイヤフラムを持つ、SUキャブのイメージでしょうか、まるでバイクのエンジンのようですね。ホンダの当時の気合が伝わってくるようです。
100516グリフォン5.jpg
 リヤのハッチは開かないと言うより、元々ありません(^∀^)。ですから、荷物はサイドのドアからになりますが、スペースはしっかりとキープされていますから、不具合はないでしょう。
 話によると、ヘッドライトはフローリアンのものを、ウィンカーはシャンテだかフロンテだかのものを使っていて、テールランプはサニーのものだとか。色々な当時の既製品を組み合わせているんですね。ただ、FRP製のボディは本当にしっかりしていて、クロス地のファイバーが使われていたのにはマーコスのcouzさんも感心しきり。フロントグリルもただアルミ板に細かい穴の空いたものを切って付けたようでいて、実はこれも微妙な曲線を持った立体的なもので、端部は全部内側に曲げられています。プレスの型をこうしたところでも作っていたんですね。
100516グリフォン6.jpg
 ホイールは既製品ではなくカロッツェリア・ワタナベ独自のデザインのもの。「W」のイメージを表現したもので、とても上手に仕上げられていますね。ちなみに、前後でリム幅が異なり、後輪は見た目にかなり深い感じです。今の車はオフセット量が大きいので、外にスポークが出ているのに対し、昔のFR車はいい味出していますね。
 カロッツェリア・ワタナベは当時この車を、S600持込の上150万円で製作したそうで、やはりこの価格が災いしたのか(当時ブルーバード1800が87.6万円、スカイライン2000GTが106万円)、全部でたった5台しか作られなかったそうで(うち1台がS800を使ったそうです)、今残っている車両が2台、走れる状態なのがこの1台のみなのだそうです。カロッツェリア・ワタナベと言う製作所の社長さんは、自分の夢を具現化したのでしょうが、時代が早過ぎましたね。でも、夢を追いかけ、独自のデザインの車を仕上げようとするその姿勢、これこそGTromanですよね。

nice!(6)  コメント(12)  トラックバック(0) 
共通テーマ:自動車

nice! 6

コメント 12

HIRO

こんにちは。
成り立ちを聞くと、一寸前のイタリアとかに転がっていそうな話ですね(笑)
ザガートと言われても...
by HIRO (2010-05-20 20:05) 

shun

こんばんは。
今日のグリフォンで大黒ネタも終了ですかねぇ~?
確かにベースとなったS600よりは一回り大きく見えましたね。
ですが、ベースのSよりも重量はFRPな分、軽いのではないでしょうか?
FRPボディでドアなどチリがきっちりと合っているのは、やはり日本人のなせる業なんでしょうね。

by shun (2010-05-20 23:34) 

トプ・ガバチョ

>HIROさん、こんちわ!
正にカロッツェリアでしょ(^∀^)v
実際にザガート製と言われても、分からないでしょうねー。
作りはホントに良かったですから。
オーナーさんも、一度フルレストアしたのかもしれませんが、作り自体は元が良くないとあそこまでにはならないでしょうね。
by トプ・ガバチョ (2010-05-21 09:16) 

トプ・ガバチョ

>shunさん、ちわっす!
さすがに皆さん大黒ネタを引っ張りましたね(笑。
てゆーか、フィルムの現像を済ませたので、あまりデジで撮っていなかった150Sをアップすべく、ネタを引き伸ばしました(^∇^)
でも、あのグリフォン、とてもS600とは思えない「違った車」でしたよね。
もちろん車重は結構軽くなっているでしょう。
それにしても、ガラス一枚一枚がオリジナルなばかりか、ホイールまで作っていたのにはビックリでしたよ。
でも、ランプ類は皆他社のものなのが面白いですね。
by トプ・ガバチョ (2010-05-21 09:20) 

くっさん。

これは興味深い車ですね!
トプ・ガバチョ さんの記事も、車雑誌を読んでいるようでした(^^)
それにしても、ホイールまで作るとは、気合が入っています。
by くっさん。 (2010-05-21 10:07) 

トプ・ガバチョ

>くっさん、ちゃっす!
興味深いでしょ~(^∇^)
70年代にここまで作り上げていたメーカーがあったんですから、ミツオカも脱帽ものでしょう。
それにしても、CG誌では採り上げられなかったのかな?
何冊か持っている'75年の号には出ていませんでしたが、全部調べた訳ではないので、何号に出ていたのか分かると有り難いですが、分かったところで、本そのものが押入れの奥の奥だから、結局探せないか(笑。
by トプ・ガバチョ (2010-05-21 13:43) 

銀

わーぉ! 凄い凄い!
こういう、埋もれてる車があとどの位居るんでしょう?
先人達の熱意(メーカー系の人も含めて)には、
本当に脱帽です。
by (2010-05-22 19:59) 

トプ・ガバチョ

>銀さん、スゴいっしょ(^o^)
実際70年代に国内でここまで仕上げるのには、技術だけでなく、かなりの資金がないとできませんから、やはり限りなく0に近いかと。
ボディの前部のみを変えたものや、上をちょん切ったものなどは数限りなくあるでしょうが、ボディ全体となると難しいでしょうね。
相当な気合を感じちゃいます!
by トプ・ガバチョ (2010-05-22 20:07) 

Kei

大変懐かしく・・・つい・・・
私の先生の作品の中の一台ですね・・
先生が最後に造られた・・・のは
たぶん・・・・現在はいすゞさんの倉庫のどこかにある
いすゞV-クロスの4ドアモデルが最後まで仕上げられたものです。
世には出ていないかも・・・
いすゞさんからV-クロスアメリカ発売の年のデトロイトのオートショウ向け様として・・・委託されましたが・・
出来上がりがあまりによく・・・
ショウに出すと・・・まるで4ドアのモデルまであるような勘違いをするということで世には出ませんでした。
また見てみたいものです
Kei
by Kei (2010-08-01 09:58) 

トプ・ガバチョ

Keiさん、初めまして。
Keiさんはワタナベ社長さんのお弟子さんなのですね。
いすゞのV-クロスと言うものすらよく分からないワテですが、それを更に手を加えて仕上げたスペシャルモデル、とても気になりますね!
どんなものなのか、一度見てみたいです。
ちなみに、こちらのグリフォンは、7月のミーティングでは前期型のトヨタ2000GTに乗っていらした方の車両です。
純国産スポーツカーをこよなく愛していらっしゃる方ですね。
by トプ・ガバチョ (2010-08-01 10:18) 

Carly T.I.

私 デザイナーのCarlyと申します。 10年ほど前 ロサンゼルスで渡辺 雅夫氏にお会いした事がありました。カスタムカー関連のお仕事をされている・・・との事でご子息はバイクのカスタムデザイナー兼バイクのレーサーもされているとの事でした。 もう一度お会いしたかった・・・
by Carly T.I. (2010-11-03 07:41) 

トプ・ガバチョ

>Carlyさん、初めまして。
ナンとグリフォンのデザイナーさんでしたか!
この車は本当に世に出る時期が早過ぎましたね、日本では。
S600をベースにした軽快なGTカー。
イタリアのデザインに全く負けていませんね。
大黒PAで拝見した時には、仲間も皆釘付けでした。
心から素晴らしい作品だと思います!
by トプ・ガバチョ (2010-11-03 19:44) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。