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GAMMA III @イタリアンカメラ [イタリアンカメラ]

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 世にライカ型カメラは数多くあれど、ガンマほど無茶な発想で作られたフォーカル・プレーン(FP)機はないでしょう。見た目にはファインダー関連が本家ライカのものを向かって右側に追いやって、前面の両側に半円筒形のグリップのようなコブが付いているのが変わっている程度で、その他は別段同じようにも見えます。でも、本家のライカを完成された形とするなら、このガンマの崩れたデザインはそれがかえって魅力になるからおかしなものです。
 ではナゼ当時ガンマはこのようにデザインを崩したんでしょうか。それは前に述べた「無茶なFP」機構を組み入れたからに他なりません。
 本来の35mm横走りフォーカル・プレーンシャッターは、ライカが始めたリボンを上下に付けたふんどしのような黒い布幕を2枚使い、それぞれをシャッタースピードごとにタイムラグを付けてドラムに巻き込む仕組みです。ですから、それを巻き付けるドラムが左右両側で必要になります。しかし、布幕は薄くてしなやかに巻き付きますので、厚味のないボディデザインでも問題はありませんね。
 これに対し、コンタックスが始めたのが薄い金属幕の縦走りフォーカル・プレーンシャッターは、いくら薄くても金属幕ゆえに、そのままではドラムに巻き取れません。ですから、これを建物のシャッターのように細かく切ったものをつなぎ合わせ、巻き取れるようにしています。
 この二つの形が定番となって、以後どのメーカもこれらを利用するようになりましたが、材質は布ではなくチタンを使ったり、アームで縦走りシャッターを上下させるなどの進化は当然見られます。もちろん電子化されたのも進化の一つでしょう。しかし、1947年にガンマ社がデビューさせたI型は、かなり無茶&独自のデザインでフォーカル・プレーンシャッターを創っています。Gamma1shutterimg.jpg
 これは以前ガンマI型を分解清掃した時の画像ですが、III型まで基本的には変わりません。で、問題のシャッターですが、何かカーブした板が見えますでしょ。この円筒の一部を切り取ったような金属板が2枚あって、これは当然巻き込めません。ではどうやって前後させるのかと申しますと、この板に合わせてボディには上下にカーブしたレールがあって、板の上部にはギアの歯が刻まれています。これをボディ側のギアが噛み合って回転し、板を動かすのですが、巻き取れないために板を収納するスペースが必要になります。また、先幕・後幕用の回転ギアを設けるために、本来ファインダーが納まる中心部付近が使えません。そのためにファインダーがご覧の通り後ろから見て左側に追いやられてしまうんですね。こうなると巻き上げ用のノブや軸が付けられなくなり(横にスペースを確保するためにボディを大きくすれば可能)、これを潔く省き、巻き上げ側に専用マガジンを入れておいて、巻き上げっぱなしにして終了したらそのままマガジンを取り出す仕組みになっていました。このマガジンは、既成のパトローネは反対側では上下が逆転する上、開閉できないので使えませんが、うまい具合に詰め替え用のマガジンが今でも売られていて(もうなくなったかも)、中の軸を逆にすればそれが使えます。
 ガンマIII型はI型にスローシャッターを組み込み、マウントを専用バヨネットから一般的なL39(ライカマウント)に変更し、細かな部品の精度をより高めたモデルで、50年頃のカメラになります。画像のものは最も後期に作られたシンクロ接点の付いたタイプで、総生産台数はI型も含めてもせいぜい3000台。シンクロモデルはまず500台に満たないでしょうが、使っていて面白いカメラであることは間違いないです。

 詳しくはこちらでどうぞ→ http://www.topgabacho.com/


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