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新旧コンデジテスト@我が家 [カメラ全般]

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 先日こちらでアップしましたが、ペンタックス・オプティオRZ10を1万ポッキリで購入したのをきっかけに、せっかくだから我が家の新旧コンパクトデジカメの写りをチェックしてみようかと思いつきました。「そんなの新しい方が良いに決まってるじゃん」と思いますが、今のデジカメはいわゆるCOMSと呼ばれる受光素子のサイズ、解像度によって大幅に性能が変わり、画像も異なるのは当然です。しかし、近年のデジ画像では、多くが携帯の写真機能で撮ったものやコンパクトデジカメのものが圧倒的に多く、結果として、写真には絶対的存在の「レンズ」がなおざりにされているような傾向がありますね。もちろん高価なデジタル一眼レフの、高性能レンズなどでは優れたものが多々ありますが、優秀なレンズメーカーの存在意義がイマイチはっきりしなくなって、90年代まで格安&一段低い位置付けの交換レンズ専門メーカー(例えばシグマ等)が今では普通にカメラを作っていますし、老舗カメラメーカーを吸収した、本来なら畑違いの家電メーカー製の製品も溢れています。つまり、以前のように、レンズに強いカメラメーカーの評価が高くなるとは言えない時代になって、使う側もあまり古いカメラブランドにこだわりを持っていないようです。
 では、一眼レフはともかくとして、コンパクトデジカメではどうなのでしょうか。携帯や簡易型のデジカメのレンズは論外として、やはり目先の便利を追求して、いかにコンパクトな筒の中に倍率の高いズームを突っ込むかに走っている傾向は否定できないでしょう。実際、あの小さなボディに、どうやってそんな高倍率のズームを突っ込むことができるのか、不思議なくらいですが、非球面レンズやプラスチックレンズは当たり前で、従来のガラス研磨などほとんどありません。さらに、ズーミング中に別のレンズを突っ込んで大幅に構成を変えたり、レンズ群をそれぞれ異なる動きで前後させたりして、少ないレンズ枚数でコンパクトかつ倍率の高いズームを実現しています。反面、純粋にレンズ性能として考えると、以前のカメラをテストしていた雑誌社のカメラマン・レポーターの人々にとっては、当時なら評価の対象にすらならないような低レベルなものも結構普通に使われています。一言で言うと「妥協」でしょうが、そもそも1万円以下で「高性能で高倍率かつコンパクトなズームレンズ」など、レンズ単体でもできる訳ないですから、「まあ、画像は少々不正確ですが、きれいに見えますし何よりコンパクトでとても安価すからどうでっか?!」と言うところになります。
 そこで、コンパクトデジは実際にどんな具合に向上してきたのか、どのような進化を遂げてきたのかを、我が家の新旧コンデジ5台を使ってテストしてみた次第です。画素数だけでなく、レンズの実力も要チェックです。

 カメラのテストは、まずはどのカメラも同じ位置から一番広角側にレンズをセットしたものが1枚目。その位置からズーミングして、バイクがフレームに丁度良い大きさに納まるところで撮ったものが2枚目で、それぞれ520ピクセルに縮小してアンシャープマスクをかけています。色の補正はしていません。また、フレームに合わせて写した画像から、縮小することなくエンジン部分を横520×縦390ピクセルの枠で切り取ったものが3枚目の画像になります。ただし、東芝PDRはズーム機構がないので、2枚目は立ち位置を変更し、近付いて撮っています。


① 【TOSHIBA Allegretto PDR-M4】
ToshibaPDR-M4.jpg
 まずは、99年にPCを初めて購入した時に、ほぼ同時に購入したコンパクトデジカメの東芝アレグレット PDR-M4です。このカメラはワテのHP作成に縦横無尽の活躍をしてくれましたが、画素数は214万画素しかありません。それでフルサイズで撮影すると、横1600×縦1200ピクセルのJPEG画像になります。スマートメディアの32MBのカードで33枚しか写せませんでしたが、後に出た128MBのカードは認識できませんでした。大きさは「写るんです」くらい。ストロボ内蔵ですが、ズームレンズではありません。しかし、小さな液晶モニター以外にも、しっかりとした光学式のファインダーを備えていたのが良かったですね。金額はまだまだデジタルカメラが高価で、当時5万円以上でヨドバシカメラで購入しました。
11年4月29日PDR-M4KL250A.jpg
 さて、いよいよ画像チェックですが、像の歪みは上部の塀の線を見ると一目瞭然です。このカメラのレンズは単焦点ですが、35mmカメラにしておよそ40mm程度の、広角気味な標準レンズが付いています。単焦点ではオーソドックスですが、無理のないレンズ設計が可能なはずなのに、上部が微妙に曲がっているのが分かります。少々樽形になります。
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 ズームの代わりに、自分の足で少し前に出て撮りましたが、東芝PDRの特徴は、多少青味がかった色合いが見られることです。路面やスイングアーム、リムを見ると良く分かりますが、光の強い部分は飛んで真っ白になってしまうように、コントラストが強めのレンズです。
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 フルスケール画像で切り取ってもこんなもので、1000万画素のものに比べると、5倍くらいの範囲が入ってしまいます。レンズの解像力もさほどでもないのか、線が甘く感じられます。エンジンのフィンのアルミ地がむき出しの部分がしっかり白くならず、ノイズが出ていまね。

② 【PENTAX OPTIO S5n】
PentaxOptioS5n.jpg
 長らくPDR-M4を使っていましたが、ある日突然無反応になって使えなくなってしまいました。デジカメ業界も随分変化し、コンパクトデジはかなり小型化が進み、05年当時、最も小さくて高性能だったペンタックス・オプティオのフラッグシップモデルS5nを5万円弱で購入しました。3倍の光学ズームと動画モードはMPEG4を備えていて、一般撮影時は最大500万画素で、横2560×縦1920ピクセルになりました。いきなりここまで変わるかと言うほどの変化ですが、この辺りから光学式のファインダーはどのメーカーも省くようになりましたね。
 このカメラは何しろコンパクトでお気に入りでした。ただ、07年のツーリング時にこのカメラをハンドルに固定して林道走行動画を撮ったら、さすがに振動で動かなくなりました。修理に出して今でも使えるようになっています。
11年4月29日KL250OptioS5n520A.jpg
 オプティオS5nのレンズは、広角側が35mmレンズ相当になります。この3倍ズームの基本線は今でも使われているように、入れ替わりの激しいここ数年では珍しいでしょうね。しかし、画像はご覧の通り大きく上下の線が歪んでます。樽形が相当キツイことが分かりますね。広角側にしてプログラムモードで撮影していますが、全体的に明るい画像になってますね。
11年4月29日KL250OptioS5n520B.jpg
 少しズーミングしてみると、広角レンズ側の樽形歪曲が見られなくなってますが、バイクのタイヤの後ろのブロックを見ると、糸巻き形の歪みが始まっているのが分かります。やはりこのサイズでのズームレンズには、光学的に無理が
あるのは仕方ないことでしょうね。
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 レンズの解像力はなかなかのもので、線がどれもしっかり出ています。ただ、サイドカバーの「250」のマークが、本来のグリーンでなく色が飛んでしまって白く見えます。なお、ここでは分かりませんが、広角側の周辺部を見ると、多少四隅に放射状に像が流れるのが見て取れます。

③ 【PENTAX OPTIO S10】
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 S5nが故障して、それに替わるものを同じシリーズから探して購入したのが07年後期に登場したこのオプティオS10。ペンタックスからはRとかFとか色々な記号のコンパクトデジがラインアップしてましたが、やはりS5nのコンパクトなボディがお気に入りだったワテは、その後継機種が欲しいと思った訳です。レンズはあまり進化せずに光学3倍ズームのまま。受光素子が飛躍的に向上し、ついに1000万画素を達成した、最初のペンタックス製コンデジでした。動画モードは640x480ピクセルだから、この点でもさほど進化していませんが、以前は動画モードにすると固定焦点になりましたが、今度はきっちりピントを随時ピントを合わせてくれます。撮影モードも色々増えて便利になりましたが、実際のところ、プログラムAEとセミスポット測光ばかり使っています。フルサイズでの画像は横3648×縦2736ピクセルになります。
11年4月29日KL250OptioS10img520A.jpg
 オプティオS5nと同じような樽形歪曲が見られる広角側です。しかし、露出はより正確になってますね。どちらもプログラムモード&セミスポット測光にしていますが、こちらはとても忠実に色と濃度を再現しています。樽形歪曲がなければ最高なんですけどね。
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 ズーミングして標準の50mmレンズのような位置にして撮ると、S5nに見られた糸巻き形の歪曲はあまり強く出ていませんね。レールを見ても真っ直ぐですから、何らかの向上はあるんでしょうね。
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 エンジン部分の切り抜きですが、さすがはS10です。色飛びもなく、サイドカバーの文字もしっかり再現され、変なノイズもありません。中心部の解像力はかなり良いレンズですが、あのきつい歪曲がなければねぇ…。なお、やはりフルスケールで見ると、四隅の像の流れはS5n同様、広角側で見られます。

④ 【Ferrania Solaris Digital 711】
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 こちらはイタリアのフィルムメーカーの老舗、フェラーニア社銘柄の本格的コンパクトデジカメで、ソラリスD711と言うモデルです。フェラーニア社は、カメラの黎明期から存在したとても古いメーカーで、イタリアのフィルムのほとんどを供給していました。戦後に広く庶民にカメラが広がった際に、簡易カメラを多数作って写真文化を庶民に拡げるのに一役買いましたが、カメラはほとんどが外注品でした。60年代後半には3M傘下に入って今なお健在で、Solarisフィルムが日本でも一部のフィルムカメラ愛好家に人気があります。
 ワテはフィルムカメラでイタカメ研究をやっていた関係上、あのフェラーニアがデジカメを自社ブランドで出していたとは知らず、08年頃にそれを知ってびっくりしたものですが、当時はあくまでも携帯のカメラモードのレベルの廉価版ばかりでした。その後探していたら、フランスのショップでこのしっかりしたモデルを売っていたのを見付けて購入しましたが、最大8メガピクセルの受光素子から横3264×横2488ピクセルの像を結んでくれます。動画モードは640×480のモーションJPEGで、特に何か良い訳でもありません。背面の液晶がペンタックスより一回り大きくて、とても見やすいです。
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 レンズはやはり光学3倍ズームですが、広角側はオプティオS10に比べて、わずかに広角側で広くなっています。35mmカメラに換算して、37mmレンズと35mmレンズの差みたいなものでしょう。やはり樽形歪曲はありますが、オプティオのレンズのようにきつくありません。色合いは全体的にうっすらと青味を持った描写になります。その感覚が、Solarisフィルムの色合いと似ているのか、何か淡いイメージの画像が多くなりますが、露出はしっかりしていますから、実はきっちり写ってくれます。
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 標準程度の焦点距離までズーミングしましたが、像の歪みはほとんど見られず、この点ではオプティオより優秀ですね。しかし、被写体を寄せたら露出が若干変わったのか、色が強い光で飛び気味で、薄く感じられます。よってタンクやサイドカバー、フェンダー周辺の中間諧調はオプティオS10に劣ります。
11年4月29日KL250Solaris520C.jpg
 フルサイズからの切り取りは露出が明るめになっていた結果、サイドカバーの「250」の文字色が薄くなってます。反面、エンジンのシャドー部もつぶれることなくしっかり出ています。しかし、解像力そのものはシリンダー根元のナンバーが読めたS10に対し、こちらは微妙ですから一歩劣りますね。でも、広角側での四隅の流れはS10よりかなり少なく、像のまとまりは実はこちらの方が良いのは意外でした。

⑤ 【PENTAX OPTIO RZ10】
PentaxOptioRZ10.jpg
 前回こちらで述べましたが、最近購入したペンタックスコンパクトデジカメのフラッグシップモデル。若干ボディサイズは大きくなって、レンズを畳んでも出っ張りますが、何しろ1400万画素の受光素子と、光学10倍ズームレンズは魅力でした。最大で横4288×縦3216ピクセルの画像になります。動画も1280×720のとてもきれいな映像を楽しめます。そんなカメラが2万円台で現れ、じわじわと値引率が高まって、1万円ぽっきりで買えるようになった今、99年の東芝PDRの頃との違いをつくづく感じてしまいますね。
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 さて、立ち位置は他と変えずに広角側で撮ると、他のカメラでは左側が傾いた木の下の一部が写るだけでしたが、こちらではヘルメットを掛けてある2本左のものまで写っています。35mmカメラにかんさんすると、28mm~280mmレンズになりますが、さすがに28mmになるとしっかりした広角の効果見られますので、大変具合が良いです。しかも、ご覧の通り、樽形歪曲は少なく、相当立派な描写を見せてくれます。
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 ズーミングして寄せてみたものの、S10やその他の時より寄せが弱かったので、バイクが小さくなってしまいました。色合いは若干青が強めでSolarisの色を濃くした感じ。S10とは明らかに違って、ライムグリーンが普通の緑色っぽくなっています。像の歪みはほとんどなくてとても良いのですが、広角側での四隅の流れはフル画像で見るとしっかり残っています。
11年4月29日KL250OptioRZ10img520C.jpg
 色が濃い目に出ると言う特徴はありますが、サイドカバーの文字を見る限りなかなか忠実な色合いのように見えないこともないです。ただし、どうもサイドカバー自体のライムグリーンがざらついていますね。せっかく1400万画素になっても、このような色ノイズが出てしまうと、拡大した時に汚らしくなってあまり具合が良くないでしょうね。なお、コントラストが強めですから、微妙にシャドー部がつぶれたように見えますが、実はちゃんと微妙な中間諧調が出ているのが立派。青味がかった色合いは画像編集時に修正できますので、あまり問題にはなりませんね。

11年4月29日KLX250CRXOptioRZ10img520G.jpg
 さて、かもめ町で一気に撮りまくって、KLイモムシくんからKLXバッタくんに乗り換えて別の角度でのテストをしていたら、ハマCafeオフ仲間のクープさん(現在はすかぴんさん)がまたサーキット用お遊びに買ったCR-Xの改造車をチェックしに来ていました。一体何度買い換えてるんでしょう(^∀^)v
 それはともかく、今回のコンパクトデジの性能ですが、やはり2005年くらいに大きな変革があって、それ以来少しずつの性能アップが繰り返されているようですね。やはり性能は総合的に見て最新のOptio RZ10が一番ですが、色の再現性はOptio S10の方が良いです。しかし、カメラの命ともいえるレンズの欠陥(歪曲)はS5nからあまりなくなっていないように、元来無理があるんでしょうね。それをどうやって妥協するか、今のコンパクトデジの実力を一言で言うなら、やはりこの「妥協」ですかね(^∇^)。


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絶版倒産カメラ狂

ご無沙汰です、デジイチでも安物のズームはひどいですよ、ニコンD50についていた18-55も広角でものすごいたる型に歪みます。
EDやらなんやら書いてありますが、ひどいものです。

広角側はとりあえず広く写ってればいいみたいな感じでコンパクトでも25mm換算のものもありますからね。

キヤノンのLレンズでもフルサイズデジで使うと周辺光量落ちるものがあったりとかもう滅茶苦茶です。

たまたま知り合ったもとフジの技術者の人が言ってましたが、デジタル用のレンズにするなら、フランジバックをもっと大きくとってイメージサークルも大きくして、フィルムと兼用では本来の性能で無いといってました。ソニーは嫌いですがあそこのNEXがボディーに対してレンズがあれだけ大きいのはそれが理由といってましたね。

RZ-10もボディーに比べてレンズがかなり大きいのでそのへん配慮があるのではないかと。

高感度が弱い意外は非常に良いと店員さんも言ってました。
家も母と妹が旅行の時に使うように展示品のブラックを買ってみました。
by 絶版倒産カメラ狂 (2011-05-20 20:17) 

トプ・ガバチョ

>絶版さん、お早うさんです!
絶版さんも家族用にRZを買ったんで?
35mm換算で28-280mmの10倍光学ズームは便利ですよね。
まえから価格.com等の掲示板で言われていましたが、大きな画面で見た時の色ノイズが残念ですが、今回は感度を一番低い160に設定しても出ました。
しかし、それ以外では、レンズもそれまでの欠陥を極力抑えた効果が見られるように、なかなかなものですね。
動画もかなりきれいでしたよ。
これが1万ポッキリとは、本当にナゾですよね。
今の世の中、何か歯車が狂ってるようで、薄気味悪い気がしないでもないです。
by トプ・ガバチョ (2011-05-21 06:48) 

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