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PeB修理&テストwithファルコ [イタリアンカメラ]

10年5月30日PeBとFalco.jpg
 先日アップしたPeBのレンズ回りの分解クリーニングが終わり、蛇腹を外したままにして、「完全遮光テープ」の到着を待っていましたが、なかなか送られてこないので、似たようなものを近くで買い求めて蛇腹の補修をやっちゃいました。
10年5月26日PeB修理1.jpg
 蛇腹は丈夫な紙で出来ていますが、何しろ大戦中の頃のものだけに、金属部分の錆ともども悪くなっていくのは当然です。このように特にひどい部分は針穴程度ではなく、完全に切れて破損状態。実は下側の折り目にもいくつか小さな穴が見られ、この2列を前から後ろまでテープで塞ぐことにしました。
10年5月26日PeB修理3.jpg
 レンズ&シャッターユニットと蛇腹を外したPeB Audax。内部の汚れも簡単にお掃除。でも、錆は困ったもんで、なるべく錆止め剤を使いたくないこともあり、赤茶けた表面を磨くだけにしておきました。
10年5月26日PeB修理6.jpg
 蛇腹2隅にテープを内張りし、後端に超強力両面テープの最も薄い黒のものを貼って本体に取り付けました。わずかにテープの端が見えていますが、元々このフィルムレールのような枠は、実際にレールの役割は果たしていなく、ただのトリミングの枠ですから、でこぼこしていて平坦ではありません。どの道トリミングされるのですから、多少テープの端が出ても問題なしな訳っす。フィルムの平面性を維持するのは、枠の左右に立つ2本のローラーで、この棒がくるくる回ってフィルムをスムーズに送り出すだけでなく、ピント面を決めています。
10年5月26日PeB修理8.jpg
 一通り作業が済んで生き返ったPeB。早速ちゃんと写るかどうか、似たようなレベルのカメラを引っ張り出して写りを比較しながらチェックします。その相方はトップ画像の右側のもので、同じイタリアはFerrania社のFalco。登場はPeB Audaxより多少遅い46年で、こちらは保存状態が非常に良く、蛇腹もレンズも全く問題なし。半世紀以上経ったものが未だビンビンですもんね。ちなみに50年頃に出た同じフェラーニアのファルコシリーズのフラッグシップ機、ファルコS型もありますが、こちらは多少使われて来たらしく、程度は良いものの蛇腹の状態が微妙でした。
 では、今回の主人公のPeBくんはどんな写りを見せてくれたでしょうか…。
100530PeBtest2.jpg
 まず、天気が怪し気で、さっさと切り上げた29日。でる太くんに乗りつつ接着剤の買出しに出かけたその日です(前のレポ参照)。
 フィルムはイルフォードFP4で、現像は同社のID-11を2倍に希釈しました。それをいつものごとくエプソンGT-X750でスキャン(1200dpiで取り込み)し、520ピクセルに縮小しています。
 実は一番最初に、近所の廃屋を撮りましたが、何度か蛇腹を伸び縮みさせているうちに、補修していない側が駄々をこねたようで、このコマ辺りから右上から横にかけてと、上部に光漏れが出てきました。この画像でははっきりしませんが、右上にわずかに出ていますね。
 左右の光量低下は、3枚玉ノンコーティングレンズでは仕方ないところ。ちなみに絞りはf8開放で、シャッタースピードは1/100秒です。
100530FalcoIItest1.jpg
 こちらはフェラーニア・ファルコで撮ったもの。レンズは2枚玉のアナスティグマティコで、ピントは無限遠。やはり周辺部が光量低下していますが、コントラストがPeBより明らかに劣っていますね。遠部の解像力も劣っています。
100530PeBtest5.jpg
 今度は30日にかもめ町に持ち込んでテストしたもの。PeBアウダックスは何度か蛇腹の開閉を繰り返していたら、ご覧のようにはっきり光漏れ。現像後にチェックしたら、テープを貼らなかった側にピンホールのような小さな穴が。丁度中央上部の光漏れの左横に黒い点がいくつか見えますが、これは痛んだ蛇腹の繊維が欠けたものがフィルムに付いたものです。しかし、このチープな蛇腹カメラのレンズの解像力はなかなかのもの。四隅の像の流れも少なく、結構しっかりしたコントラストとともに黒がつぶれずにそれなりに階調も豊かで、なかなかの塩梅です。
100530FalcoIItest2.jpg
 こちらはファルコにて。ちょっと近くなってますが、ピントは無限遠です。でも、左上の建物が像の流れにより、完全にボケたようになっちゃいました。周辺光量低下は3枚玉のアウダックスより顕著で、中心部はフレアの影響で霞んだように見えます。コントラストが低いために、ボンネットの白が飛び過ぎず、細かい明暗が付いているのは悪くありませんが、スカッとしないのは仕方ないですね。
100530PeBtest7.jpg
 最短撮影距離は、アウダックスが1.5mで、ファルコは4.5feet。アウダックスをこの条件で撮影してみましたら、しっかりリアホイール付近にピントが来ています。絞りは開放(f8)ですから、シャッタースピードを1/50秒に落としています。微妙に左端の砂利が流れたように見えますが、これは像の流れではなく、石のそのものが斜面を流れるように落ちかけているものです。実際、その上下にある木の板や柵は流れていません。なお、右端と上部の光漏れ部分は多少トリミングしています。
100530FalcoIItest4.jpg
 フェラーニア・ファルコを最短の4.5feetの位置に合わせて撮ったものがこちら。ピントはテールランプ付近にきました。リアホイールも何とか被写界深度内ですが、左側の柵を見ると明らかに外へ画像が流れていますね。ピントのボケもありますが、像の歪みも重なって、遠くのコンテナがかなり菱形になっています。ピント自体の精度は悪くないですが、やはりレンズの性能はPeBアウダックスの勝ちかな。
 今度はもう一度PeBの蛇腹の四隅を全て遮光テープで補修し、撮り直してみたいですが、フェラーニア・ファルコもみすみす負けてばかりはいられませんので、ファルコSでリベンジですな(^∇^)。


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くっさん。

写真よりも、機械モノ好きとしては写真機に興味が沸きます(^^)
トプ・ガバチョ さんは、メカも撮る方も、両方なのですね。

デルくんの内装、綺麗に直るといいですね。
プロは、コンプレッサーで、接着剤を薄く均一に吹いていましたよ。
そんなテクがあるなんて、ズルいですよね。
(プリウスの張替の時に、ずっと作業を見てました)
by くっさん。 (2010-06-02 15:56) 

トプ・ガバチョ

>くっさん、お早うさんです!
やはりワテも機械モノが好きですから、写す方はサッパリセンスがないんですけど、カメラは写していることがいじっていることにもなりますんで、結局それなりに使うことになっちゃう訳です。
フィルムの無駄使いとも言えますけどね(笑。

例のぷよぷよは今日にでもチャレンジしてみようかな(^∇^)。
最近、黒い帽子の上に白っぽい綿埃のようなものがくっ付いているのが目立っていたんですが、実はアルカンタラの表面にこすってくっ付いていたもんで、いよいよヤバくなってきました(笑。
by トプ・ガバチョ (2010-06-03 06:35) 

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